ジュニアクラス

心身を育んだ子どもたちが、 より高い稜線をめざす「ジュニアクラス」。 歩くチカラから、生きるチカラへ! (写真:八ヶ岳、東ギボシの山頂手前を行く子どもたち)

ジュニアの子どもたちと(2016年9月 縞枯山・展望台の岩場)


「ジュニアの条件」

親子山学校は現在、2つのカテゴリーに分かれて活動しています。4歳から小学生(主として低学年)までの子どもとその親が、毎月低山に登る「キッズクラス」。こちらは一年単位で活動し、一年ごとに継続か退会かを決めていただいています。

一方の「ジュニアクラス」には、基本的に継続か退会かの問いはありません。キッズクラスの低山で育ってきた親子のみを受け入れ、子どもには小学6年生まで続ける覚悟を求めています。ジュニアクラスは、エスカレーター式に進級できる場所ではないということです。

山登りは一見すると、ただ歩いて登り、歩いて下りるだけの単純な身体運動です。(実はもっと複雑で繊細な要素を含んでいますが)単純な運動だけに、子ども一人ひとりの個性や力量が如実に現れます。

親子山学校では雨の日も山に登ります。気の向くままに歩いたり、自由に休むことも出来ない山登りをやっています。いろんな約束事、制限を科しています。そうした山登りを通して、不自由さや自分の弱さに向き合い、自然に対して謙虚になれるココロとカラダを親子で育んでもらいます。

とりわけジュニアクラスでは、キッズクラスでは許されてきた子どもの泣き言や不平不満は一切受け入れません。ジュニアクラスでは、親は子どもへの過剰な干渉をやめて、子どもの自立心を促すよう、子どもとの距離を徐々に広げてもらいます。逆に言えば、親の干渉がなければ何一つ判断も実行もできない子は、ジュニアクラスにはまだ参加すべきではないということです。

キッズクラスが親と子の二人三脚で登る「親子のため」の山だとすれば、ジュニアクラスは子ども自身が主体性と自立心を獲得してゆく「子どものため」の山登りでなければならないと親子山学校は考えています。そこを履き違えて、子どもの気持ちを置き去りにしてジュニアクラスに上がり、親自身の山への憧れを満たす場所では断じてないということです。これは強く主張します。

ジュニアクラスへの参加条件は、これまで「キッズクラス在籍2年以上」「小学2年生以上」を基本にしてきましたが、2016年9月1日に参加条件を以下のように改定しました。

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一、本気で親子登山をめざす小学生以上の子どもと親のみ受け入れる
 (学年は問わず)

一、親子山学校が発信する流儀、理念を尊重する親子のみ受け入れる

一、最高学年(小学6年生)までやり続ける覚悟の子を受け入れる
 (自己都合による中途退会は認める)

一、参加姿勢に本気を感じられない親子は、次年度キッズクラスに降格す
 (もう一度、低山から親子登山の精神を学び直してもらう)

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一番目の条件で、キッズクラスでの活動年数や子どもの学年の制限を撤廃しましたが、ハードルを下げたわけではありません。キッズクラスに二年いてジュニアクラスに上がってくる子どもより、実は三年、四年と長く低山を続けてきた子どもの方が、ココロとカラダの安定感は遥かに優れています。これは学年、年齢とは無関係で、登った山の高さとも関係がないことを物語っています。

心身にハンディを持っている子どもほど、「どうすれば、もっと上手く歩けるようになれるか」と意識し、毎回歯をくいしばって懸命に参加しています。カラダが大きくて元気なだけで登ってきた子どもにはない、考える力や忍耐力を持っています。自分に足りないものを知っている子は、いつかは克服したい壁があり、その壁を突破できるチャンスを虎視眈々とうかがっているのです。

子ども自身が意識するしないに関わらず、口惜しさをバネに努力してきた子どもは、成功を手柄にすることは決してしません。十数年間、大勢の子どもを見てきてそう実感しています。

ジュニアクラスにおいて最高に素敵な子どもとは、自分が苦しいときも笑顔を絶やさず、声を出して仲間を思いやることができる子どもです。困難な登山を最後までやり遂げたあとも、何事もなかったかのように仲間の子どもと無邪気に過ごせる子どもです。それがジュニアの理想の姿だと考えています。

理想を具現化できる子どもはジュニアクラスにおいてもそうは現れませんが、理想のない場所に学びはありません。親子山学校は、学びのない享楽だけの山登りを子どもに教えるつもりは毛頭ありません。

山登りを通してここに集う子どもたちを磨きながら、これに関わる大人や親たちもまた、子どもたちの姿によって磨かれる場でありたいと考えています。2003年の創設以来、親子山学校は山に登る子どもたちの涙や叫びや笑顔によって継承されています。

2016年9月26日
親子山学校
関良一


雨の陣馬山をゆくジュニアの子どもたち