「傾斜があって足場の悪い下りでも、 親子でサクサクっと下れる方法」
「傾斜があって足場の悪い下りでも、
親子でサクサクっと下れる方法」
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足元にゴツゴツとした石があるような急勾配の下りになると、
経験の浅い親子は例外なく通過に時間がかかります。
一つクリアしても、次のステップでまた躊躇し、考えあぐね、疑心暗鬼の
まま、ようやく踏み出す一歩が決まる。その繰り返しですから、時間が
かかるのも当然です。
さらに、小さな子どもの手を引く親の多くは、子どもを安全に
誘導しようとするあまり、子どもに気を取られ過ぎています。
そのため、親自身のカラダの向きが、進むべき方向に向いていません。
カラダがねじれています。
勾配のある下りで時間がかかっている親子は、ほぼ例外なく
腰砕け状態で、へっぴり腰になっている場合も多いのです。
断言します。腰が引けている限り、下りは絶対に上達しません。
「○○ちゃん、ちゃんと歩いて」と親がいくら注意しても、
親自身が危なっかしい状態ですから、子どもは何をどうすれば良いのか
永遠にわからないと思います。
そういう親子には、「こうすればいいよ!」
と私が確信を持って伝えている下り方を紹介します。
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子どもの手さえしっかりと掴んでいるなら、
「親は子どもの方を振り向く必要はまったくありません!」。
それよりも大事なこと、優先すべきことは、親自身が
常に一番安全で確実な足場を先行して歩くことです。
常に進みたい方向に、カラダをしっかりと向けていることです。
親が安定して歩けている状態ならば、手を引かれて歩く
子どもも自然に同じラインをたどっていけるのです。
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ココがポイントです!
基本は、勾配のある下りでも、親はしっかりと上体を伸ばした
自然体の格好です。絶壁のような傾斜でもない限り、低山などの
一般ルートの傾斜などたかが知れています。
上体をしっかりと起こして、進みたい方向にカラダを向けることで、
視野も広がるので、目に入ってくる情報量も多くなります。
そこから、最適なライン、危ない場所の見分けもつきやすくなります。
ぺっぴり腰では視界も限定され、良い結果は何も得られません。
手をしっかりと握っているなら、万一、子どもがバランスを崩しても、
その手を瞬時にキュッと引くだけで、子どもの体勢を修正する
こともできます。その時でさえ、親はまったく子どもの方を
振り向く必要はないのです。
子どもと手をつなぐことで、手のひらから伝わってくる子どもの
緊張感や安心感も、親ならば分かるはずです。
つないでいる手は、あなたと子どもとの命のザイルです。
普通に握っただけでは不安な場合や、ここは絶対に手を離しては
いけないような場面では、私は子どもの手首をつかんで歩きます。
その方がすっぽ抜ける確立は低くなります。
こういうことは、山登りの指南書には書かれていません。
私が体験から学んだことですし、親子登山を始めたばかりの方
にとっては、とても重要なテクニックになるはずです。
勾配のある下りになると、いつも手間どっている親子は、
そういう場所に差し掛かったら一度試してみてください。
手をしっかりと握ったままで、子どもを見ずに、
あなた自身が一番良いと判断した足場から足場へと
ラインを探して歩き続けてみてください。
最初はゆっくりでもかまいません。
次々と最適な足場を見極めるスピードがアップしていけば、
この方法でいっそうスムーズに下れるようになります。
下り方も登り方も、考え方は同じです。
最適なラインを読み取ることです。
「一番楽なラインはどこか」「一番安全なラインはどれか」
「一番確実なラインはどこか」。そういうことを意識して歩けば、
自然とやるべきことは決まって、正しい下り方・登り方に
つながるはずです。
なにも考えずにただ体力だけが足りないと思っている方は、
まったく間違っています。
いつも何気なく歩いている山道、簡単そうに見える山道にも、
必ず最適なラインがあります。そういうものを見極める癖を
低山でも習得することはいくらでも可能です。
それがやがて、高山の岩稜地帯を登り下りするときにも生かされます。
子どもの体幹もよくなり、下半身も安定してきて、
手を離しても安心して見ていられるようになれば、
子ども自身も学んできた歩き方で、臆することなく確信を持って
最適な足場を求めてスムーズに下れるようになります。
親子登山で大切なことは、あなた自身が良いお手本を示せば、
子どもも自然に見習えるということです。
あなた自身がオドオドと足を出せば、手をつないでいる
子どもも常に不安になります。
なによりも優先すべきは、あなた自身が確信を持って
その一歩を踏み出せているかです。
それが出来るようになるには、子どもと登る一つ一つの山、
一歩一歩を丁寧に感じる心、丁寧に歩くことを繰り返して、
カラダで覚えるしかありません。
今、子どもと手をつないで歩けるうちに、
しっかりとラインを見極めて歩ける癖をつけて下さい。
あなたが進むべき正しい道を示せば、
子どもも正しい道を歩くのです。
親子山学校
関 良一